上海のビジネス情報誌「BizPresso(ビズプレッソ)」の「新語にみる中国ビジネス風景」コーナーで当中国語学校が3回目の取材協力を行いました。
中国のサービスにはいろいろ不満がある人も多いと思いますが、最近は徐々に向上してきています。今回はそんなサービスに関係のある中国語の新語「人性化」についてです。
以下「BizPresso」11月7日号の記事より抜粋。
【人性化(ren2 xing4 hua4)】
顧客サービスの概念浸透へ
外資企業の中国進出などにより、流入したもののひとつに顧客サービスという概念がある。今や、中国企業は厭が応でも顧客サービスに対応しなければならなくなった。ライバル企業とのサービス競争、他の店との差別化。物を買った消費者にお釣りを投げて返す“売ってやる”態度では物が売れない時代になったのだ。そこでたくさんのスローガンが生まれつつある。
「顾客是上帝(お客様は神様)」「一个承诺、朋友一生(一度買ってもらえば、長い付き合い)」「主动、及时、周到、热情(客が言わずともこちらが全てやる)」「将优秀服务进行到底(優れたサービスを最後まで)」「服务到家(サービスは家まで、アフターサービスも万全)」。さらには「企业销售的终极目标是服务(会社のセールスの最終目標はサービスにあり)」なんて大げさなものもある。
これらのスローガンの背景にあるのが「人性化」という新しい言葉だ。いわゆるヒューマニティー、人間らしさといったニュアンスで、欧米的な概念、先進的な思考として用いられている。それがビジネスの場では、「うちでもいかに“人性化服务”を提供できるかが大事だ」なんてふうに使われるのだ。では、そこでいう“人性化服务”とはどういうものか。
ひとつは信頼性を表す。お客様に信頼されることができるか。お客様と約束したことをきちんと守れるか。次に商品やサービスの保障。他社との比較で価格や品質は保証できるのか。使用後のメンテナンスはどうか、商品は売るだけでなく使うまで。
そのほか、商品購入時、商品使用後の顧客の満足度であったり、その後のメンテナンスやフォローなど顧客の立場に立ったサービスができているか否であったり、の意味も含んでいる。
さらに「人性化」は日常生活でも、個々の人に優しい、といったような概念も持つ。設備がよくて使いやすい、人の身体的特徴に対応している、手続きやシステムが簡便、パーソナライズ化されている、プライバシーを尊重している、などなど。
先進性の高い中国企業では顧客サービスの対応拠点を構えたり、マニュアル化して社員指導に力を入れたり、“人性化服务”の浸透に努める企業も増え始めている。
顧客サービスという概念に慣れっこの先進国外国人からすれば、中国ではまだまだの顧客サービスだが、とにかく変化は始まりつつあるわけだ。スローガンのひとつ、「服务是行动、不是口号(サービスは行動だ、口だけじゃない)」も忘れずにいてほしいものだが。
取材協力:王雯妍老師(上海の日本人向け中国語学校・コラボラーニングセンター)