最近、上海在住の皆さんも職場や学校で「巻」と「内巻」という中国語を聞くことがあると思います。社会現象や若者の文化に関連して使われることが多く、元々の意味とは少し異なります。

今回はこの中国語の新語「巻(juǎn)」と「内巻(nèijuǎn)」の意味と、これらの言葉が生まれた背景について紹介したいと思います。

「巻(juǎn)」の新しい意味

「巻」は、もともとは「巻く」や「丸める」という意味ですが、新しいスラングとしては、過度な競争にさらされる状況を指すようになりました。

特に職場や学校などの環境で、全員が必死に競争し、他人に負けないようにプレッシャーが強まる状況を表す言葉として使われます。

【例文】
「我们部门太卷了!」(私たちの部署は競争が激しすぎる!)
「大家都在卷,不卷就落后了。」(みんなが競争しているので、競争しないと遅れてしまう。)

この場合の「巻」は、競争が激しくなる状況を象徴する動詞として使われます。みんなが限界まで頑張り続けることで、自己消耗やストレスを増大させる意味があります。

「内巻(nèijuǎn)」の意味

「内巻(nèijuǎn)」は、社会現象としての言葉で、特定の集団や社会が外部に向かって発展するのではなく、内部での過度な競争や努力が続いて、結果的に誰もが消耗していく状態を指します。

この言葉は、「外部に新しい価値を創出できない状況で、内部の競争だけが激化する」という社会問題を反映しています。

中国の経済発展がある程度成熟し、かつてのような急速な成長が難しくなってきた一方で、職場や教育での競争がますます激しくなる現象に対する批判や問題意識が「内巻」という言葉に込められています。

【例文】
「教育内卷很严重,孩子们越来越累。」(教育における内巻がひどくなり、子供たちがどんどん疲れている。)
「内卷让大家都看不到出路。」(内巻のせいで皆が出口を見失っている。)

まとめ

「巻」: 若者文化や職場・学校で「競争が激しく、他人に負けないように努力する」という新しい意味で使われる。競争そのものや、それによる疲労感を表現する。

「内巻」: 社会現象としての言葉で、外に向かって発展できず、内部で過度な競争が起き、無意味な消耗に陥る状況を指す。

どちらも、現代の中国における過度な競争や消耗的な状況を批判的に捉えた中国語の新語です。