上海市には東京23区と同じように16の区があり、それぞれの区が独自の特色と文化を持っています。

元々上海市でなかった地域が併合されて区になったり、複数の区が合併したり、区も時代と共に変化しています。

以下に現在の上海市16区の区名、中国語発音、略歴を紹介します。

上海市区名 16区 地図

黄浦区 (Huángpǔ Qū)
2011年に黄浦区と盧湾区が合併。市人民政府や外灘が所在する上海中心部。旧黄浦区は旧イギリス上海租界で、20世紀からの金融や貿易の中心地区である。旧盧湾区は旧上海フランス租界、江南造船廠の所在地で、中国近代工業の発祥地である

徐汇区 (Xúhuì Qū)
上海交通大学、中国科学院上海分院、中国航天院上海分院、上海映画撮影所など、数々のハイテク研究所、医療機関、大学などがある。戦前の資本家や著名人たちの旧居が多く残っている。衡山路周辺にはしゃれた飲食店も多い。徐家匯駅周辺はオフィスビルや百貨店が増加し、発展が目覚ましい。

长宁区 (Chángníng Qū)
改革開放後に設けられた虹橋新区は外国企業の事務所が多いビジネス地区となっている。日本を含む各国の領事館も区内に点在し、多くの外国人が古北新区などに住んでいる。上海市内で日本人駐在者が一番多い地域でもある。

静安区 (Jìng’ān Qū)
上海中心部にある区で、静安寺があることに因む。第二次世界大戦以前の高級洋館が今も多数残っている。また、1990年代に移転した現上海駅がある。

普陀区 (Pǔtuó Qū)
市の西北部にある区で、かつての紡織労働者の団地も多い。以前の国家主席の江沢民も上海市市長になる前に区内の曹楊新村に住んでいたことがある。

虹口区 (Hóngkǒu Qū)
第二次世界大戦前は日本の租界で、当時「小東京」と呼ばれた。横浜橋、西本願寺などの史跡が残り、魯迅公園がある。

杨浦区 (Yángpǔ Qū)
旧アメリカ租界で、市中心部の区としては面積がいちばん広く、人口も120万人と最多である。区内には復旦大学、同済大学、上海理工大学、上海海洋大学、上海電力学院など大学が多い。

浦东新区 (Pǔdōng Xīnqū)
楊浦区、黄浦区、南市区と盧湾区の浦東部分と上海県の三林塘部分と川沙県が1992年に合併し、副省級市に昇格した。2009年には南匯区と合併した。経済特区として金融、IT産業、電子、化学などの工場・オフィス誘致が進み、上海浦東国際空港も建設された。

闵行区 (Mǐnháng Qū)
1992年に閔行区と上海県が合併。多くの外国企業の工場や国産の精密機器、ロケットと人工衛星の製造工場がある。

宝山区 (Bǎoshān Qū)
1988年に呉淞区と宝山県が合併。日本の技術協力を得た宝山鋼鉄の所在地である。

嘉定区 (Jiādìng Qū)
旧嘉定県が1992年に改称。光学研究所などの研究機関や大手国際メーカーの自動車工場がある。2004年6月には上海国際サーキットが完成し、F1中国グランプリやロードレース世界選手権中国グランプリなどの国際レースが開催されている。

金山区 (Jīnshān Qū)
旧金山県が1997年に改称。金山石化総廠の所在地である。

松江区 (Sōngjiāng Qū)
旧松江県が1998年に改称。上海影視楽園も有名。区内の佘山(標高97メートル)は上海市内で一番高い山で、上海市天文台も頂上にある。男子ゴルフ世界選手権シリーズのHSBCチャンピオンズが「佘山国際ゴルフクラブ」で行われる。

青浦区 (Qīngpǔ Qū)
旧青浦県が1999年に改称。機械製造、金属加工などが盛ん。西にある淀山湖は黄浦江の水源であり、上海の水道水の水源池でもある。湖畔には紅楼夢の大観園を再現したテーマパークもある。

奉贤区 (Fèngxián Qū)
旧奉賢県が2001年に改称。市街地の南に位置し、スイカなど農産物の産地。近年、海水浴場ができて観光業にも力を入れている。

崇明区 (Chóngmíng Qū)
旧崇明県が2016年6月に改称。長江河口の巨大な中洲である崇明島の大部分を占める。島の北の一部は江蘇省に属す。2009年に上海長江トンネル・大橋の開通により、島へのアクセスが大幅改善された。